辻村深月『水底フェスタ(MINAZOKO FESTA)』

辻村深月『水底フェスタ(MINAZOKO FESTA)』

辻村深月さんの『水底フェスタ』読みました。

舞台は山間の小さな村。
ロックフェスを誘致して開けてきたけど、村人はそんなものには興味なく、ただ村を存続させ守っている。

そんな村で、主人公の湧谷広海(わきや・ひろみ)は、ロックフェスが大好きで、村が嫌いで村人たちを冷たい目で見ている高校生男子。

近所の目を気にしながら、息子の友人で問題児の日馬達哉(くさま・たつや)を可愛がることでちっぽけな優越感を満たしている母親・美津子。
親同士が決めた勝手な結婚の約束を信じて広海に付きまとう幼なじみの門音(かどね)。
気の合う友人ではあるけれど、扱いに困るほど凶暴な日馬達哉。
唯一音楽をわかっている父親で現村長の飛雄(とびお)。

そんな父にも母にも、子供の広海には知らされない現実があった。

フェスで出会った、村出身のモデル兼女優の織場由貴美(おりば・ゆきみ)に囚われ翻弄されていく広海。
彼女に突き付けられた現実は広海を子供のままではいさせてくれない。
もう何も知らなかった子供には戻れない。

息が詰まるような村の閉塞感。

全てを知っているのに知らないふりをする大人たち。
犯罪さえも知らぬ存ぜぬを貫き通す。
それが村を守るためなのか?
そうやって、何代も何代もやってきたから。
村人だから守る。
外の人間のことは知らない。

読んでいるだけで怖くて苦しくなってくる。

どこで何を間違ったのか、幸せになる方法はなかったのか・・・。

ハッピーエンドが好きなくせに、こういう何の救いもないような苦しい話を読んでしまうのはなぜだろう。

でも、最後の広海の行動で、これからいい方向に向かうかも・・・と、少しだけ明るい兆しがあるのがせめてもの救いですね。

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